2009年3月22日日曜日

テレビはユーザーニーズに応えているか、の件。

No.295

21日夜、NHKで放映されていた、

「日本の、これから 放送記念日特集『テレビの、これから』」


を観た。

「放送記念日」のこの日、

これからテレビが果たすべき役割とは、

みたいな硬派なテーマで、

制作者、識者、関係者、視聴者が討論を繰り広げる番組。

NHKのくせに(笑)、民放各局の制作者や関係者が出演し、

各局の番組をも紹介するという、横断的で画期的な試みだった。

HTBの藤村Dも出演!



その中で、「テレビは視聴者のニーズに応えているか?」

的なテーマで、番組は盛り上がりを見せた。


「今のテレビは観たいものがない!」

だとか、

「あんな番組じゃ、子どもと一緒に観られない!」

だとか、

「制作者はスポンサーの顔ばかり伺って、視聴者不在だ!」

だとか、

まぁ、分かってるんだか分かってないんだか、

「自分の価値観が視聴者代表!」みたいな方々が、

まぁご立派な考えを述べられたわけだ。



でも、そもそもなのだけど、

テレビって、視聴者のニーズに100%応えるべきものなのだろうか?

それは視聴者=受け手側の理想論振りかざした、

身勝手な要求にすぎないのではないか?


テレビが誕生して50年以上、

テレビが視聴者のニーズに向き合って、応えてきたことなんて、

実は無かったんじゃないかと、思うわけだ。

その必要すら、無かったんじゃないかとも、思うわけだ。


テレビというものは、元来、一方通行に情報を流すものだ。

制作者側が、自分が視聴者として観たい番組を企画して、

スポンサーの意向と照らし合わせて、

その結果出来上がったものが放映される。

放映された番組は、

上手く行けば、視聴者の支持が「視聴率」という形で得られるし、

そうでなければ廃れていく。

ユーザーのニーズに応えて作るのではなく、

作ったものにユーザーが関心を示すか否か、ということだ。

視聴者は、「結果判定」という立場でちゃんと存在している。

テレビは、そうやって、よくも悪くも

視聴者の価値観を育ててきたメディアだ。


テレビは視聴者が作るのではない。

視聴者が作るなんてのは、キレイごとだ。

一億人一億色のユーザーニーズにコントロールされた番組なんて、

そんなもん面白いか?そんな番組なんか、作れるのか?

見誤ってはいけない。

テレビは制作者やスポンサーが作るものなのだ。

その結果として、視聴者は観たいものは観ればいいし、

観たくないものは観なければよい。

本当にテレビ全体が観られたもんじゃないと思えば、

自身の生活や価値観から、テレビを捨てればよいだけだ。


そんなシンプルな関係でいいんじゃないかと思う。

昔からそうしてきたように。

なにをここであらたまって議論する必要があろうか。


そんなことよりも、

テレビは「一方通行メディア」として、

常に正しい情報を流しているのか?という方が大問題だ。

視聴者は、バラエティ番組のバカさ加減を問う前に、

「正しい情報くれよ!」と声高に叫ぶべきだ。

この番組内で、果敢にテレビ史上最大のタブーに切れ込んだ、

視聴者代表の姿もあった。

「テレビのこれから」を問うのであれば、

ユーザーニーズとか視聴者サービスとか、

そんな表面上への議論ではなく、

もっと根幹の、テレビの体質という、

切実な問題への議論がなされるべきだ。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

残念ながら動画は削除されているので視聴者のメッセージはわかりませんが、ネットがあるおかげでテレビよりも多くの立場から発信されるニュースや情報が入るのでいい時代なのかもとちょっと思いました。

Ken Tachibana さんのコメント...

mitsuさん、どうも。
やっぱ動画削除されましたかw。

同感です。
番組内では、テレビの対極であるかのようにネットが扱われていたのですが、
別に共存すればいいんじゃ~ん、と思うのです。ネットがあるおかげのテレビの面白さだったり、その逆しかり。

ユーザーがテレビをどう変える、ではなく、
テレビとネットをどううまく使いこなすか、使い分けるか、という視点で、個々が考えられるようになればいいと思います。